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≪ラ・カンパネラ基礎知識≫
■パガ超第3番 変イ短調 ラ・カンパネラ
・作曲者/フランツ・リスト ・作品番号/S.140-3 or R3a ・献呈/クララ・シューマン
・原曲/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調第3楽章op.6(パガニーニ)&ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調第3楽章op.7(パガニーニ)
・超絶度/300 ・演奏時間/約6分
≪(伊)Etudes d'Execution Transcendante d'apres Paganini/Etude3 “La Campanella”≫
≪(英)Etudes for Transcendental Technique after Paganini/EtudeV “La Campanella”≫
パガニーニによる超絶技巧練習曲集第3番変イ短調ラ・カンパネラS140-3 [※MIDI]
(4分4秒/36KB)
2番目に作られたラ・カンパネラです。1838年に出版されました。
通常のラ・カンパネラの3倍は難しい、名づけて「シャア専用ラ・カンパネラ」です。
正式名称≪パガニーニによる超絶技巧練習曲集第3番 変イ短調 ラ・カンパネラ≫と言います。
長いのでマニアの間では通称『パガ超ラ・カンパネラ』または『パガ超の方のカンパネラ』と呼ばれることがありますが、私はさらに省略して超鐘と呼んでいます。
ちなみに名前の頭にくっついている“パガニーニによる”っていうのは、パガニーニという人物が深く関わっている曲だからです。
通常のラ・カンパネラ(=パガ大ラ・カンパネラ)を聴き慣れている人がこの『パガ超ラ・カンパネラ』を初めて聴いた時、
まったく知らないメロディが混じっているのに戸惑うことと思います。このラカンパネラには、
3つのラカンパネラに共通する
ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調op.7 第3楽章『ラ・カンパネラ』 [※MIDI] だけでなく、
ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調op.6の第3楽章 [※MIDI] の旋律も入っているためです。
ヴァイオリン協奏曲1番は無伴奏ヴァイオリン独奏曲《24のカプリースop.1》に続くパガニーニ主要作品の一つであり、とてもすばらしい作品です。
リストはあまりにもパガニーニに惚れすぎたので、もうとにかく“詰め込みたかった”のでしょう。
通常のラカンパネラとは違い、リズム(拍子)はところどころ6/8から4/4へと変わりながら、
いつの間にか短調(変イ短調)から長調(変イ長調)へと転調し、やがて明るい雰囲気の“鐘の旋律”でフィナーレを迎えます。
さて、
≪パガニーニによる超絶技巧練習曲集≫について少しお話します。
全6曲からなるこの曲集は、≪パガニーニによる大練習曲集≫の前に作られた作品です。
パガ超のすべてを録音している人は、世界でたったの3人しかいません。
大井和郎、レスリー・ハワード、ニコライ・ペトロフです。
左に表示されているCDはレスリー・ハワードの演奏です。
彼のはちょっと不満の残るパガ超だと言われていますが、
一方で、彼の功績(リスト全曲録音)に比べたら、たった6曲に、そんな力を入れて練習する暇などなかったのだろうとも言われています。
ペトロフのパガ超はすばらしいと言われているのですがわたくしは聴いた事もないし、しかも絶版らしいので、
誰かわたくしに売って下さい(涙)
大井さんの場合は、パガ超6曲の修行を積み、3年という年月を経て、完成度をあげたあと録音に挑んだのだといいます、、
彼は、たまにコンサートで弾いてくれるとか、弾いてくんないとか…それほどに難しい曲集なんです。「パガ超」っていうのは。
…というか、パガ超6曲すべてじゃなくとも、この3番『超絶版ラ・カンパネラ』一曲に限っても、
CDは、この3人しか出していないのではないでしょうか。(ぬぅぅぅ…誰か、もっと弾いてくれい!)
ちなみに、パガ超の楽譜自体、日本の出版社はどこも出してません。
音楽之友社も、YAMAHAもKAWAIも全音出版社も…とにかく、どこもかしこも全滅です(;´д`)ノ
もしかしてヤツら…≪パガ超≫なんて弾こうとするピアノ弾きはいないとでも思ってるのでしょうか。
少なくともここに一人いますのに…。この前進(暗譜)するしか能の無い、
無謀なる超絶アホウピアニストが!(
わたくしは□ この楽譜(ドーバー社※海外の出版社)を注文する時、
理解してくれる店員にめぐり合うのに数日を要しました。なにせ奴ら、超絶技巧練習曲とパガ超の違いをわかってくれんのです。
パガ大とパガ超を同じだと思ってるんです。しかもむしろ、わたくしの方が間違っているかのような態度!言動!!
これにはほんとに、まじでわたくし、コンフォーコしました。
おもわずその店員に、8度しか届かないこの手で、アイアンクローをかけようという衝動…いや、
ラ・カンパネラで鍛えた“腕のすばやさを生かした北斗百裂拳”を浴びせてくれようか、ともいう衝動に駆られましたが、
さすがに24歳は新聞に載ってしまうので、それはやめておきました。
⇒□ 楽譜の詳細