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≪ラ・カンパネラ基礎知識≫


■【ラ・カンパネラ基礎知識】のまとめ 〜これを読めばすぐわかる〜

La campanellaはイタリア語で小さな鐘を意味します。
正確な発音はラ・カンパネッラですが、日本語で文字にする場合はラ・カンパネラと書くのが普通です。

作曲したのはニコロ・パガニーニNiccolo Paganini 1782/10/27〜1840/5/27)、
編曲したのがフランツ・リスト(Frantz Listzt 1811/10/22〜1886/7/31)です。

街に鳴り響く教会の鐘の美しい音色を天才・パガニーニが
ヴァイオリンで模倣したというのがラ・カンパネラの起源です。
(※イタリア民謡だという説もあり)

原曲はパガニーニのヴァイオリン協奏曲であり、私達が日常耳にしている「ラカンパネラ」は
リストがそれをピアノ用にアレンジしたものです。

リストの生み出したラ・カンパネラは全部で5つあり、
の順に作られました。

どのラ・カンパネラもパガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調op.7の第3楽章『鐘のロンド』を元に作られていますが、 Aのラ・カンパネラ(S140-3)はパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調op.6の第3楽章、 BとCにはパガニーニ作曲のヴェネツィアの謝肉祭op.10のテーマも元になっています。 ちなみにベニス(ヴェニス)/Veniceは、ベネツィア/Veneziaの英語読みです。 つまり、《ベニスの謝肉祭》も《ヴィネツィアの謝肉祭》も同じことです。

我々がよく知るのは最後に作られたDのラ・カンパネラ(S141-3)で、 それはアマチュアのために弾きやすく優しいアレンジがほどこされており5つのうち最も簡単な曲ですが、 最も美しく鳴り響く鐘であり、さまざまなピアニストたちによって愛奏されています。

最初に作られた@のラ・カンパネラ(op.2)は、パガニーニの鬼のごときすさまじい演奏を初めて見たリスト(当時21歳)が、彼にあこがれ彼を目指し、 ピアノ練習室にひきこもって一日中技巧を磨き続け、その結果完成した現在、最も演奏困難とされているラカンパネラです。 それを弾けるのはまだ世界にたったの数人しかおらず、今のところレスリー・ハワード、ジョン・オグドン、セルジオ・フィオレンティーノ、ケマル・ゲキチの4人しかわたしは知りません。

Bのラカンパネラは「ラカンパネラ」と「ベニスの謝肉祭」の2つのテーマを使用しているラカンパネラで、 前奏がダラダラと続いて始まる@とは違い、いきなりラカンパネラの主題から始まり、 最後の方で「ベニスの謝肉祭」のテーマが現れて終わります。 CのラカンパネラはBを少しアレンジしただけのもので、あまり変化はないです。

BとCのラカンパネラに限っては、私自身、最近知ったばかりなので、情報が少ないことは否めません。 演奏しているピアニストがレスリー・ハワード以外にいるかどうかさえ不明です。 楽譜も音源も手元にないため、難易度がいったいどれぐらいなのかすら不明です。 これら2つのラカンパネラについては、今後も調査を続け、情報を追加していきたいと思います。


さて、以上をまとめますと…

フランツ・リストはまず最初に@を作り、続いてAを作り、そして@をアレンジしたBを作り、さらにそれをまたアレンジしてCを作り、最後にAを簡単にした我々のよく知るところのDを作ったというワケです。フランツ・リストは間違いなく、わたくしショパン三世と同じ熱烈なるラカンパネラマニアであることは、言うまでもありません(笑








私が調べた結果
@とBとCのラカンパネラが収録されているCDは
今のところこれしか見つけられませんでした。

@⇒Disk1の1曲目
『Grande Fantaisie di bravura sur La Clochette de Paganini S420 (c1832)』

B⇒Disk3の1曲目
『Grande fantaisie (Variations) sur des themes de Paganini - La Clochette et La Carnaval de Venise - First Version S700i (1845)』

C⇒Disk3の11曲目
『Grande fantaisie (Variations) sur des themes de Paganini - Second Version S700ii (1845) 』


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