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■ 伝説の少女《カンパニュール》

―これは、ギリシャ神話にある切なく悲しい少女のお話―

カンパニュールは非常にまじめで誠実な少女でした。
いつも与えられた仕事を一生懸命やっていたので、神々にその功績を認められ、
果樹園の見張り番を任命されました。

果樹園には、かじった者に不死を与えるという黄金のリンゴが存在していたのですが、
これは彼女が神さまたちに、かなりの信頼を置かれていたからです。

まじめな彼女は盗賊の侵入をみつけるとすぐに手に持った銀の鐘を鳴らし、
少々離れた場所に待機している“最強の番人”を呼ぶのです。
それは火を吐く巨大な竜で、百頭竜ラドンといいました。

彼女は、黄金のリンゴを狙う者たちにとって非常に邪魔な存在でした。
彼らはいつかカンパニュールを騙して花園の外へ呼び出し、
めちゃくちゃに引き裂いてやろうと思っていました。
だけど「ラドン」が恐いので、誰もカンパニュールを殺せないでいました。


ある日の出来事…


果樹園に侵入してきた一人の賊がおりました。
カンパニュールが眠っていると勘違いして、目の前を通りすぎようとした瞬間、
はっと目を覚ました彼女はとっさに手に持っていた銀の鐘を鳴らしました。
その音に驚いた賊は、カンパニュールの胸を持っていた剣で一突きしては、
“最強の番人”が来るのを恐れ、黄金のリンゴを前にして、逃げ帰りました。

しばらしくてラドンがたどり着いた時には ―カンパニュールはすでに息絶えていました―

そして、彼女のの血だらけの手の中には、銀の鐘が固く握られていました。
カンパニュールはその命尽きるまで、何度も何度も鐘を鳴らし続けたのでした。
彼女は彼女のなすべき事を、最後の最後までやり遂げたのです。

知らせを聞いた女神フローラは彼女をあまりにもかわいそうに思い、
彼女の身体をそっと抱き上げると、その身をひとつの花に変えました。

―鐘の形をした美しい花―

その花は彼女の名をとって、カンパニュラと呼ばれるようになりました…、、、     fine.



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