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■ピアノを弾く者たちの大敵【 腱鞘炎 】について
ピアノを弾いている時、手(あるいわ手首)が痛くなったことはないだろうか。
そのとき、あなたの身体の中で何が起こっているのかを説明しよう…。
【 腱鞘炎 】と書いて、ケンシロウ…ではなく、「けんしょうえん」と読む(笑)
そしてピアノを弾く者はみな、決してコレ(=腱鞘炎)をナメてはいけない。
動かすたびに激痛が走り、無理に動かすほどに痛みが増していき、
回復するのに時間がかかり、治すのが難しくなっていく病気。
原因は、同じ動きを反復する手の動作、無理な力の入れすぎなどによる。
「腱(けん)」とは、手足などを動かす筋肉の動きを骨に伝える組織であり、 筋肉の末梢が収束して堅くなっている部分をいう。 「腱鞘(けんしょう)」とは、その周りにトンネル状にある組織のことで、 腱が浮き上がらないようにスムーズに動かす重要な役割をもっている。
そして「腱鞘炎(けんしょうえん)」というのは読んで字の如し、
腱を収める鞘(さや)である「腱鞘(けんしょう)」あるいは、
「腱(けん)」そのものが炎症を起こしている状態のことである。
それは、
鞘が厚く腫れ上がったせいで鞘の内側と腱が接触してしまい、腱が動きにくくなっている状態
なのだ。
⇒結果:「腱鞘」と「腱」が擦れるので痛い
“カタナ”をおさめる“サヤ”を想像して欲しい。
サヤの穴にサビやゴミやホコリを詰め込んでいる状態で、カタナを素早く出し入れできるであろうか?
―答えは「否(いな)」である。
もしも緋村剣心が、こんなサヤで志々雄真に挑んでいたなら、 刃をサヤ内で走らせる最速の抜刀術“居合い”が出来ないため、 【飛天三剣流】の奥義・天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)が炸裂できず、 無残にも負けてしまっていたかもしれ…、、、
あっ( ̄□ ̄;)!!
話が逸れてしまた…(涙
例えば“細いストロー”の中を“太いうどん”が通るだろうか…。
きっとうどんは、削れてしまうのではないだろうか。
そして、この「腱鞘炎」なる“魔物”は、
ピアノを弾く時に、手や指、腕の使い方が間違っていると、誰でも召喚してしまう病気なのである。
いや、「間違っている」というより「その人の身体に合っていない弾き方をすると」である。
ピアノが大好きで真面目な人ほど、練習熱心な人ほど、集中力が高くて長時間弾く人ほど、
一つの小節を何度も何度も繰り返す人ほど、腱鞘炎になりやすいのである。
さらにピアノを弾く上で最悪なのが「ばね指」。これも、腱鞘炎の一種である。
指の曲げ伸ばし時にいつもひっかかる感じになり、 曲げる時に「カクッ」としたり、伸ばす時に「カクッ」としたり…とにかく、うざい。痛みが無くとも、とにかくうざい。 ピアニシモの表現など、自由に指の加減が出来なくなるのと同じことであり、 これになってしまったら、もはやピアノの道は絶望的。
痛みを感じたら、すぐに弾くのをやめるのが、最も安全な手段といえる。
数十分後に再び弾いてみて、またすぐ痛くなるようであれば、その日はもう弾かない方がよい。
長くピアノと付き合っていきたいなら、これは当然の防御行動である。
病院に行ってもし治っても、前と同じ奏法をしていれば、また発症するのは当然の結果。
ピアノを弾いていて痛みがおこったなら、弾く時のフォームや指番号など変える必要がある。
ちなみに、準備運動なしでいきなりラカンパネラを弾くと起こりやすいので、
それはまさに水泳でいうところの「足をツッタ状態」であろう(笑)
―自業自得である。
私の場合、手に異変を感じた時は、とにかくすぐお湯に付ける。
指をあたためるという行為により、指の中に何がおこるのかというと…
●筋肉がほぐれる
●神経がほぐれる
●指と指の間がひらく
である。
専門医学的なことを言うと、
「痛みだけ」の初期段階ではお湯に付けるのは有効
だが、
痛みとともに赤くなったり腫れたりした場合は、冷やさなければならない
らしい。
私は昔(大学時代)、ピアノの猛練習をしているとよく右手が痛くなった。(月光第3楽章
痛くなると鉄棒にぶら下がったりして、とにかく手首を痛めつけていた!(⇒あふぉ
しかし現在の私は手が痛くなることがまったくないので、今の奏法は私の指に合っているのであろう。
ちなみに、なぜか左手だけは何を弾こうが何時間弾こうが今まで一度も痛くなったことがない。
■■■ 痛くならないようにするには ■■■
●弾く前に手〜腕〜全身を柔らかくしておく
●指をホッカイロやお湯で温めておく
●休憩を入れながら練習する
●弾き方(指番号など)を変えてみる
●軽く優しくゆっくり弾く
―参考文献―
★ピアノ音楽雑誌 【 ショパン 】 2001年7月号
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